《蝶籠》
囚われた蝶 捕らえた人間 無垢な君 愚かな僕 交錯し絡み合う 僕たちの歪曲周波数
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【月見酒】前編
えーと…なんつーか。ちょっと触発されて。前から考えるだけは考えてた話。
…ジュリーです。
否、呪リー。沢田じゃねぇ。私の中では基本シュイリー←呪術師なのですが。一応、シュイと出会う前な設定で。
しかも、うっかり長くなっちゃったので(大した話でもないのに)前後編だったり。
お暇な方だけ、続きからどうぞ↓。イロイロごめんなさい(先に謝っておきます)。
…ジュリーです。
否、呪リー。沢田じゃねぇ。私の中では基本シュイリー←呪術師なのですが。一応、シュイと出会う前な設定で。
しかも、うっかり長くなっちゃったので(大した話でもないのに)前後編だったり。
お暇な方だけ、続きからどうぞ↓。イロイロごめんなさい(先に謝っておきます)。
それは、まだシュイと出会うずっと前のこと。
二つの月が薄く輝く深夜。住家の大樹の上、ただぼんやりと座っていた。つい先程調合の終わった薬に最後の仕上げとして月の呪い(まじない)をかけていた。
雪の季節は過ぎ、微かに花の気配がする。
仕上げが終わっても何となく動く気にならなかった。珍しく、心が静かだった。
「…誰だ」
微かな気配がして低く問う。
「あれまぁ。久々にふらふらしてみとったら、こりゃ珍しい猫を見つけたものよな」
久しく見る自分以外の猫。独特な仮面を付けているが、薄暗い中、上からでは表情までは読めない。
「いやはや、黒猫とは珍しいのぉ。どうやら吉良の猫とも違うようだが…」
「去れ」
「なんじゃ、そんなツンツンせんでもいいじゃろ」
言うや否や、その猫はスルスルと目の前まで昇って来る。…この樹には鳥はおろか、虫さえも寄りつかない術がかけてあるというのに…。
「なんじゃ、この樹。寒々と寂しい樹じゃな。」
「…お前…」
「ん?ようやく儂に興味が湧いたか?」
目の前の少しくすんだ灰色の猫はにやにやと笑う。
「実は独り引き籠もってるのに少し飽いてな。酒飲み相手を探しておったのよ」
ゆったりとした衣の下から酒瓶を取り出す。
「だから何だ。俺には関係無い。去れ」
喉元に鋭利な爪を突き付ける。
「いや、だからの。おぬしをその相手に…って、ぅおぅっ…!!!!」 瞬間突き付けた爪を横に凪ぐ。
「ふぅ、せっかちな猫じゃのぅ。そう、逸らんでもちゃんと分けてやるか…」
また一閃。切っ先がその猫の仮面の紐を掠め、白い仮面が落ちる。思っていたよりも若い顔が前髪から覗く。
「やれやれ。そんなに嫌なら、おぬしの方が去ればよかろうに。…なんじゃ。この樹はおぬしの縄張りなのかぇ?」
「…」
「はぁ。無口な猫じゃな。ほれ、コレでも飲んで少し落ち着け」
酒瓶の栓を抜いた瞬間、甘美な匂いが鼻腔をくすぐる。
「儂のとっておきじゃ。さ、遠慮せずにぐっといけ」
微かに鳴る喉を懸命に堪え、間を開ける。無言のまま対峙すること数分。
「強情じゃなぁ」
痺れを切らした灰色の猫は自分で瓶ごと酒を呷る。
「ふぅ。うーん美味い、やはり月の綺麗な夜には酒と美猫じゃな!!」
「は?…っん!?」
ほとんど有るか無いか隙だった。口移しで無理矢理流し込まれた酒が喉を焼く。咄嗟に押し退けるが、僅かに嚥下してしまう。
…続いちゃったりします。
二つの月が薄く輝く深夜。住家の大樹の上、ただぼんやりと座っていた。つい先程調合の終わった薬に最後の仕上げとして月の呪い(まじない)をかけていた。
雪の季節は過ぎ、微かに花の気配がする。
仕上げが終わっても何となく動く気にならなかった。珍しく、心が静かだった。
「…誰だ」
微かな気配がして低く問う。
「あれまぁ。久々にふらふらしてみとったら、こりゃ珍しい猫を見つけたものよな」
久しく見る自分以外の猫。独特な仮面を付けているが、薄暗い中、上からでは表情までは読めない。
「いやはや、黒猫とは珍しいのぉ。どうやら吉良の猫とも違うようだが…」
「去れ」
「なんじゃ、そんなツンツンせんでもいいじゃろ」
言うや否や、その猫はスルスルと目の前まで昇って来る。…この樹には鳥はおろか、虫さえも寄りつかない術がかけてあるというのに…。
「なんじゃ、この樹。寒々と寂しい樹じゃな。」
「…お前…」
「ん?ようやく儂に興味が湧いたか?」
目の前の少しくすんだ灰色の猫はにやにやと笑う。
「実は独り引き籠もってるのに少し飽いてな。酒飲み相手を探しておったのよ」
ゆったりとした衣の下から酒瓶を取り出す。
「だから何だ。俺には関係無い。去れ」
喉元に鋭利な爪を突き付ける。
「いや、だからの。おぬしをその相手に…って、ぅおぅっ…!!!!」 瞬間突き付けた爪を横に凪ぐ。
「ふぅ、せっかちな猫じゃのぅ。そう、逸らんでもちゃんと分けてやるか…」
また一閃。切っ先がその猫の仮面の紐を掠め、白い仮面が落ちる。思っていたよりも若い顔が前髪から覗く。
「やれやれ。そんなに嫌なら、おぬしの方が去ればよかろうに。…なんじゃ。この樹はおぬしの縄張りなのかぇ?」
「…」
「はぁ。無口な猫じゃな。ほれ、コレでも飲んで少し落ち着け」
酒瓶の栓を抜いた瞬間、甘美な匂いが鼻腔をくすぐる。
「儂のとっておきじゃ。さ、遠慮せずにぐっといけ」
微かに鳴る喉を懸命に堪え、間を開ける。無言のまま対峙すること数分。
「強情じゃなぁ」
痺れを切らした灰色の猫は自分で瓶ごと酒を呷る。
「ふぅ。うーん美味い、やはり月の綺麗な夜には酒と美猫じゃな!!」
「は?…っん!?」
ほとんど有るか無いか隙だった。口移しで無理矢理流し込まれた酒が喉を焼く。咄嗟に押し退けるが、僅かに嚥下してしまう。
…続いちゃったりします。
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