《蝶籠》
囚われた蝶 捕らえた人間 無垢な君 愚かな僕 交錯し絡み合う 僕たちの歪曲周波数
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【背徳の刹那】
イキナリ、創作文です。
大地と空と海の境、ヒトには見えず、辿り着くことの出来ない所にココはある。
この世界は偽善と猜疑に満ちている。
かつて、地上の人々を見守り、知恵を授けた天使達がいた。
かつて、地上の人々を蹂躙し、悪意を植え付けた悪魔達がいた。
…しかし、彼らは人々に近付きすぎた。
人々は【正義】の名のもと『人ならざる者』達を狩った。天使から授かった知恵と悪魔から教わった悪意をもって…。
生き残った少数の天使と悪魔は世界の境目へと幽閉された。
それは遥か昔の話。だけど今も続く御伽話。
「ねぇ、なんで『こんなこと』されて抵抗しないの?」
手足は縛られ、口には猿轡をされて、どう抵抗しろというのか。
唯一自由になる目でキツく目の前の相手を睨む。
「あぁ、イイね。僕は君のその綺麗な赤い瞳が一番好きなんだ。悪魔らしからぬ君の唯一の【悪魔】のしるしが。ねぇ、ロッタ?」
そう、ナーハの冷ややかな薄い碧の瞳が鼻先で嘲笑う。
ロッタ。かつて、この境に追放された悪魔の末裔。黄金の髪に深紅の瞳。
ナーハ。かつて、この境に追放された天使の末裔。墨色の髪に薄碧の瞳。
永い時を経て交わり薄れ、退化したふたつの種。それぞれの姿の象徴である翼も退化し、持つ者も稀になった。…その姿は【人】そのものだ。
「僕は退屈なんだ。ダラダラと意味も無く過ぎていく、この時間が。ねぇ、君はどう思う?」
そう言うと猿轡だけ外された。
「生憎、俺は別に何とも思わない。【外】にも興味は無い」
「ふ~ん。優等生らしいセリフだね。じゃあ、暇潰しに遊んでよ」
不意に伸ばされた細い手、重ねられた唇。
「!!!!」
反射的に引いた顎をナーハの手は逃がしてはくれなかった。
「何で逃げるのロッタ。僕のコト好きでしょう?」
再び強引に塞がれる唇。拘束された両手足で無理矢理暴れる。
血の味が滲む。
咄嗟にナーハの唇を噛み切っていた。ナーハの白い肌に血の紅が妖しく映える。
「…痛いなぁ、もう。まぁ、別に痛いのは嫌いじゃないケドね」
「コレを解け」
「嫌だよ。それとも解いたら何か楽しいことしてくれるの?」
褪めた薄碧の瞳が細まる。漆黒の髪が揺れる。細く華奢な肢体が艶めく。
…あぁ、目醒める。
大地と空と海の境、ヒトには見えず、辿り着くことの出来ない所にココはある。
この世界は偽善と猜疑に満ちている。
かつて、地上の人々を見守り、知恵を授けた天使達がいた。
かつて、地上の人々を蹂躙し、悪意を植え付けた悪魔達がいた。
…しかし、彼らは人々に近付きすぎた。
人々は【正義】の名のもと『人ならざる者』達を狩った。天使から授かった知恵と悪魔から教わった悪意をもって…。
生き残った少数の天使と悪魔は世界の境目へと幽閉された。
それは遥か昔の話。だけど今も続く御伽話。
「ねぇ、なんで『こんなこと』されて抵抗しないの?」
手足は縛られ、口には猿轡をされて、どう抵抗しろというのか。
唯一自由になる目でキツく目の前の相手を睨む。
「あぁ、イイね。僕は君のその綺麗な赤い瞳が一番好きなんだ。悪魔らしからぬ君の唯一の【悪魔】のしるしが。ねぇ、ロッタ?」
そう、ナーハの冷ややかな薄い碧の瞳が鼻先で嘲笑う。
ロッタ。かつて、この境に追放された悪魔の末裔。黄金の髪に深紅の瞳。
ナーハ。かつて、この境に追放された天使の末裔。墨色の髪に薄碧の瞳。
永い時を経て交わり薄れ、退化したふたつの種。それぞれの姿の象徴である翼も退化し、持つ者も稀になった。…その姿は【人】そのものだ。
「僕は退屈なんだ。ダラダラと意味も無く過ぎていく、この時間が。ねぇ、君はどう思う?」
そう言うと猿轡だけ外された。
「生憎、俺は別に何とも思わない。【外】にも興味は無い」
「ふ~ん。優等生らしいセリフだね。じゃあ、暇潰しに遊んでよ」
不意に伸ばされた細い手、重ねられた唇。
「!!!!」
反射的に引いた顎をナーハの手は逃がしてはくれなかった。
「何で逃げるのロッタ。僕のコト好きでしょう?」
再び強引に塞がれる唇。拘束された両手足で無理矢理暴れる。
血の味が滲む。
咄嗟にナーハの唇を噛み切っていた。ナーハの白い肌に血の紅が妖しく映える。
「…痛いなぁ、もう。まぁ、別に痛いのは嫌いじゃないケドね」
「コレを解け」
「嫌だよ。それとも解いたら何か楽しいことしてくれるの?」
褪めた薄碧の瞳が細まる。漆黒の髪が揺れる。細く華奢な肢体が艶めく。
…あぁ、目醒める。
普段は名残すらない翼が牙を剥く。黒く禍々しい感情の高ぶりと共に広がりゆく。
「もちろん。この世界の退屈なんて忘却の彼方へ捨て去るくらいに目茶苦茶にしてあげます」
「いいの?神様に怒られちゃうよ?」
「構いません。神様だってこんな辺鄙な所を覗いてるほど暇ではないはず」
擦り寄る様に細い腕が拘束を解いていく。
「フフ…可愛い人」
楽園の姿をした奈落で俺達は背徳の夢をみる。
…それは永遠の刹那。
「もちろん。この世界の退屈なんて忘却の彼方へ捨て去るくらいに目茶苦茶にしてあげます」
「いいの?神様に怒られちゃうよ?」
「構いません。神様だってこんな辺鄙な所を覗いてるほど暇ではないはず」
擦り寄る様に細い腕が拘束を解いていく。
「フフ…可愛い人」
楽園の姿をした奈落で俺達は背徳の夢をみる。
…それは永遠の刹那。
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